子どもの乳歯、および、生え変わったばかりの永久歯は歯質がやわらかく未成熟です。未成熟な歯はむし歯にかかりやすく、進行スピードも速いため、気がついたときはむし歯が歯の神経に達していることも珍しくありません。

当院では、お子さまの未成熟な歯をむし歯から守るために以下の予防処置を行っています。

・フッ素塗布

・シーラント

今回は、子どものむし歯予防処置「フッ素塗布」「シーラント」についてご紹介します。

■フッ素塗布

◎歯の表面にフッ素を塗布し、歯質を強化します

フッ素塗布とは、歯の表面にフッ素を塗り、歯質を強化するむし歯予防処置です。

フッ素には歯の再石灰化をうながす作用があります。フッ素を塗ることで歯の再石灰化がうながされてエナメル質が硬くなり、むし歯を防ぎやすくなります。

｛歯の再石灰化とは？｝

食べ物に含まれる酸やむし歯菌などの細菌が出す酸により、常に歯は溶けています。酸によって歯が溶けた状態を「脱灰（だっかい）」と呼びます。脱灰はむし歯の始まりです（CO：初期むし歯）。歯みがきを怠ったり、甘い物を多く摂取するなどしてお口の中の細菌が増えて脱灰が続くとやがて歯に穴が開き、本格的なむし歯（C1以上のむし歯）になります。

脱灰により歯が溶けてなくならないようにするため、人間の身体には唾液を使って歯を修復する「再石灰化（さいせっかいか）」という機能が備わっています。

再石灰化では、唾液に含まれるリン酸やカルシウムにより、脱灰で溶けてしまった歯のエナメル質を修復します。

このように、私たちのお口の中では常に「脱灰」と「再石灰化」の戦いが繰り広げられています。

◎フッ素には抗菌作用があります

歯の再石灰化をうながす作用と共に、フッ素には抗菌作用もあります。

抗菌作用を持つフッ素を歯に塗ることでむし歯菌をはじめとする細菌の活動・増殖が抑えられ、むし歯を防ぎやすくなります（※）。

（※）フッ素が細菌の活動・増殖を完全に抑え込む訳ではありません。

■シーラント

◎奥歯の噛み合わせ面の溝や前歯の裏側にレジンを詰めます

シーラントとは、むし歯になりやすい奥歯の噛み合わせ面の溝にプラスチック樹脂のレジンを詰めるむし歯予防処置です。

奥歯の噛み合わせ面の溝のほか、前歯の裏側に小さな穴（盲孔：もうこう）がある場合は前歯の裏側にもレジンを詰めることがあります。

奥歯の噛み合わせ面は溝が深く、歯ブラシの毛先が届きません。むし歯になりやすいため、あらかじめレジンで溝をふさぐことでむし歯にかかりにくくします。

◎レジンに含まれるフッ素の力で歯のエナメル質を強化します

シーラントで用いるレジンにはフッ素が含まれています。フッ素を含むレジンを歯の溝に詰めることでエナメル質が強化され、むし歯にかかりにくくなる効果を期待できます。

■フッ素塗布、シーラントの対象年齢

◎フッ素塗布は年齢を問わず受けられます

フッ素塗布は年齢を問わず受けられます。

◎シーラントは3～12歳のお子さまが対象です

シーラントは乳歯、または、生え変わったばかりの永久歯を持つ3～12歳のお子さまが対象です。

■フッ素塗布、シーラントは保険を適用可能です

◎条件に合えば保険でフッ素塗布、シーラントを受けられます

フッ素塗布、シーラントは保険を適用可能です。以下の条件に合えば保険でフッ素塗布、シーラントを受けられます。

＜フッ素塗布の保険適用条件＞

①むし歯（CO以上）が1本以上あること

＜シーラントの保険適用条件＞

①6～12歳で、COまたはC1のむし歯にかかっている乳歯が1本以上あること

もしくは

②6～12歳で、生えてから間もない第1大臼歯（6歳臼歯）または第2大臼歯（12歳臼歯）があること

上記の条件に当てはまらない場合は自費診療となります。

保険でフッ素塗布、シーラントを受けられるかどうかについては歯科医師までお尋ねください。お子さまの歯の状態を確認し、保険を適用可能かをお伝えいたします。

【定期検診とフッ素塗布、シーラントでお子さまの歯をむし歯から守りましょう】

子どもは自分で上手く歯を磨けません。また、子どもは甘い物が好きなため、むし歯にかかりやすいです。むし歯にかかりやすい子どもの歯を守るためには、毎日の歯みがき（＆保護者様による仕上げ磨き）に加え、歯科医院で定期的に検診を受けることが大切です。

– 小児歯科検診を行っています –

当院ではお子さまを対象にした小児歯科の定期検診を行っています。

検診の際は歯科医師がお子さまの歯や顎の状態をチェックし、併せて、歯科衛生士による歯のクリーニングを行います。日頃から歯科医院で定期検診を受けておくことでむし歯をはじめとするお口の病気や噛み合わせの異常の早期発見・早期治療につながります。

定期検診ではフッ素塗布、シーラントも行っています。ご希望の方は歯科医師、スタッフまでお申し出ください。検診時のほか、ご希望があるときはいつでもフッ素塗布、シーラントによるむし歯予防処置を受けられます（※）。

（※）ご予約が必要です。フッ素塗布、シーラントでは予防しきれないむし歯が

あるときは、歯を削る通常のむし歯治療を行う場合があります。

定期検診とフッ素塗布、シーラントでお子さまの歯をむし歯から守りましょう。