日本人の40歳以上の方の8割以上がかかっているとされる、「歯周病」。
罹患率の高さに加え、年齢を問わず、歯ぐきからの出血(初期の歯周病の歯肉炎)がある方は日本人全体の約4割を占めると見られています(※)。
(※)厚生労働省「歯科疾患実態調査」
(令和4年:2022年)より引用。
多くの方がかかっているとされる歯周病ですが、歯周病は治せる病気なのでしょうか?それとも、歯周病は治せない?気になる方も多いかと思います。
今回は、「歯周病は治せる?」のお話です。
目次
■歯周病は治せるの?
◎歯周病の主な原因
歯周病の治療で気になるのが、「歯周病は治る病気なの?」という点ではないでしょうか。
歯周病をひき起こす原因は、主に以下の2つと考えられています。
[歯周病の主な原因]
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お口の中にひそむ歯周病菌(カビ菌などから構成される、複数の歯周病菌)
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噛み合わせの乱れや歯ぎしり・食いしばりの癖などによる歯ぐき・顎の骨への過剰な負荷
上記のうち、お口の中にひそむ歯周病菌を根絶することは不可能です。
噛み合わせの乱れや歯ぎしり・食いしばりの癖に対しては、歯科矯正、MFT(お口の筋肉トレーニング)などの治療方法が挙げられます。
◎歯周病治療の目的
歯周病菌を根絶することは不可能なため、歯科医療では、以下をもって「歯周病の改善」を定義しています。
[歯周病治療で目指すこと]
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歯ぐきの出血などの歯周病の症状が見られない
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歯ぐき・顎の骨など、歯周組織の状態が安定している
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歯周病治療の目的をご理解・ご認識いただいた上で、次の項からは、歯周病の進行の仕方、および、歯科医院で行う、進行段階別の歯周病治療の内容をご紹介します。
■歯周病の進行の仕方
◎歯ぐきが腫れたり出血する歯肉炎から始まり、中期以上の歯周炎になると歯ぐきの退縮や顎の骨の吸収が生じます
歯周病は進行段階により、以下の3つの状態に分けられます。
初期「歯肉炎」
主な症状
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歯ぐきが赤く腫れる
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歯を磨くと歯ぐきから血が出る
中期「歯周炎」
主な症状
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歯を磨くと歯ぐきから血が出る
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歯ぐきが赤く腫れる
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歯ぐきが下がる
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顎の骨が溶けて歯がグラグラし始める
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口臭がする(玉ねぎが腐ったような臭い)
重度「重度歯周炎」
主な症状
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歯を磨くと歯ぐきから血が出る
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歯ぐきが赤黒くor紫色に腫れる
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歯ぐきが大きく下がり、歯の根面が露出する
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顎の骨が大きく溶け、食べ物をしっかり噛みにくくなる
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強い口臭がする(玉ねぎや卵が腐ったような臭い)
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歯が自然に抜け落ちる(指でつまんで歯をひっこ抜ける)
■進行段階別の歯周病治療の内容
◎初期の歯周病「歯肉炎」に対する治療
歯肉炎の段階であれば、毎日のセルフケアを行うことで歯ぐきの状態を改善できる可能性があります。
<初期の歯周病「歯肉炎」に対するケア・治療>
セルフケア
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歯磨き+歯間清掃
歯科医院での治療
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スケーリング(歯石取り)
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ルートプレーニング(歯ぐきの境目から下、歯周ポケット部分を含む歯石取り)
初期の歯周病「歯肉炎」に対しては、ご自身で行う毎日の歯磨き+歯間清掃によるセルフケアで歯ぐきの症状を改善できる可能性があります。
セルフケアに加え、歯科医院で定期検診を受けることで、ご自身では落とし切れない歯垢・歯石を除去でき、歯肉炎の症状を抑えやすくなります。
初期段階の歯周病である「歯肉炎」については、当院のブログにてお話ししています。お手すきの際にご参照いただければ幸いです。
◎中期以上の歯周病「歯周炎」「重度歯周炎」に対する治療
フラップ手術、再生療法などの歯周外科治療が必要になることも。
<中期・重度の歯周病「歯周炎(重度歯周炎)」に対するケア・治療>
セルフケア
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歯磨き+歯間清掃
歯科医院での治療
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スケーリング(歯石取り)
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ルートプレーニング(歯ぐきの境目から下、歯周ポケット部分を含む歯石取り)
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補綴物(詰め物・被せ物)の調整&作り直し
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噛み合わせの調整(咬合調整)
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暫間固定(グラグラしている歯を隣の歯に固定する処置)
(上記=歯周基本治療)
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フラップ手術(歯ぐきを切開し、歯の根面に付着した歯石を除去する手術)
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再生療法(リグロス、エムドゲイン)
などの歯周外科治療
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抜歯(手を尽くしても、歯周組織の改善が見込めない場合)
歯周病が進行して中期以上の歯周炎(or重度歯周炎)になると、歯ぐきが大きく下がったり、歯を支える顎の骨(歯槽骨)が溶け始めます。
歯周炎に対しては、歯周基本治療に加え、歯周組織の状態に応じてフラップ手術、再生療法などの歯周外科治療を行い、歯周組織の状態の改善を目指します。
【歯科医院で定期検診を受けましょう】
歯周病は中期以上の歯周炎になると歯周外科治療が必要になることが多く、歯を失うリスクが高まります。
お口の健康を守るため、毎日のセルフケアをしっかり行うと共に、歯科医院で定期検診を受けましょう。