
歯質を強化し、むし歯の進行を抑えやすくする、フッ素。
高濃度フッ素入り歯磨き粉や、歯科医院で行うフッ素塗布など、日常生活の様々な場面でむし歯予防のためにフッ素が活用されています。
フッ素を用いるむし歯予防の方法の一つとしては、フッ素うがい(フッ化物洗口)も。
今回は、むし歯予防の効果を高められる「フッ素うがい」のお話です。
目次
■フッ素うがいって、何?
◎フッ素洗口液を用いる“ぶくぶくうがい”= むし歯予防のためのうがいです
フッ素うがい(フッ化物洗口)とは、むし歯予防のためのうがいです。
フッ素うがいでは、以下のようなフッ素洗口液をお口に含み、ぶくぶくうがいをして歯の隅々までフッ素を行き渡らせるようにします。
[フッ素洗口液の主な種類]
ご家庭用の市販品(医療機関以外の、ドラッグストアや通販などで購入できる物)
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「フッ素入り(フッ素コート)」などと表示されている、ご家庭用のフッ素洗口液
日本国内では、ご家庭用の市販品におけるフッ素洗口液の最大濃度は225ppmに統一されています。
歯科医院で取り扱う、フッ素洗口液
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ミラノール顆粒11%
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オラブリス洗口用顆粒11%
歯科医院で取り扱う、フッ素洗口液です。以下のような種類があります。
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歯科医院の院内で用いる洗口液用(歯科医師や歯科衛生士が水道水に顆粒を溶かし、フッ素洗口液を作製する)
or
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ご家庭用(ご家庭にて、ご自身で水道水に顆粒を溶かし、フッ素洗口液を作製する)
歯科医院で取り扱うフッ素洗口液のフッ素顆粒の濃度は、主に250ppm、400ppm、900ppmの3種類です。
なお、フッ素顆粒を溶かす際は、水道水を用いましょう。ミネラルウォーターを用いると、ミネラルとフッ素の成分が結合してフッ素の作用が低下する可能性があります。
◎フッ素洗口は“ぶくぶくうがいで”
フッ素洗口はがらがらうがい(のどのうがい)ではありません。
がらがらうがいではなく、“ぶくぶくうがい”を行い、歯の隅々までフッ素洗口液を行き渡らせることが大切です。
フッ素洗口では、お口の中にフッ素洗口液を含み、ぶくぶくうがいを30秒~1分程度行います。
◎フッ素洗口では、仕上げに水でお口はゆすぎません
基本的に、フッ素洗口では、仕上げに水でお口はゆすぎません。
ぶくぶくうがいを行った後は、仕上げに水でお口をゆすがず、フッ素洗口液を残します。理由は、お口をゆすがず、歯の表面にフッ素洗口液を残すことで、フッ素によるむし歯予防の効果を高めるためです。
■フッ素うがいは何歳から? 子どもの年齢に応じた、適切なフッ素洗口液の濃度・うがいの回数について
◎4歳以上から、フッ素うがいによるむし歯予防を行えます
日本口腔衛生学会では、「4歳以上の子どもがフッ素うがいを行うことで、むし歯予防の効果を高められる」と報告しています(※1)。
{フッ素うがいによる健康への被害について 小さな子どもがフッ素洗口液を使っても大丈夫なの?}
お子さまをお持ちの保護者の方の中には、「フッ素うがいによる子どもへの健康被害が心配…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ご心配の方もいらっしゃるかと思いますが、子どもへのフッ素の健康被害の可能性について、日本口腔衛生学会では、以下のような見解を発表しています(※1)。
[日本口腔衛生学会 発表「6歳未満の児童へのフッ化物洗口」に対する見解]
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日本において、6歳未満の児童へのフッ化物洗口によって、歯、および、全身の健康に被害が発生する可能性は低い
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フッ素洗口液の濃度、および、先行回数の基準化(適切なフッ素濃度+適切なうがいの回数、うがい時間の長さなど)により、安全性を高めながら、6歳未満の幼児へのフッ化物洗口を行える
(※1)一般財団法人 日本口腔衛生学会
「児童へのフッ化物洗口に対する見解」
(2011)より引用。
日本口腔衛生学会の見解に基づき、適切なフッ素濃度(後述します)と、適切なうがい時間の長さ上記の2点を守っている限り、フッ素うがいによって小さな子ども(4歳以上)に健康被害が生じる可能性はほとんどありません。
{6歳未満の小さな子どもが用いるフッ素洗口液の適切な濃度について}
フッ素は濃度が高いほど、むし歯予防の効果を高めやすいとされています。ただし、6歳未満の小さな子どもは「歯牙フッ素症(※2)」などのおそれもあるため、高濃度フッ素が含まれたフッ素洗口液の使用はあまり適さない可能性も。
(※2)歯牙フッ素症…フッ素の過剰摂取が原因で歯のエナメル質の
構造が変化し、歯が白っぽくまだらに変色してしまう症状。
上記の理由により、フッ素うがいにおいて、6歳未満の小さな子どもは「225~250ppm未満」の濃度のフッ素洗口液を用いることをおすすめします(※3)。
(※3)厚生労働省「フッ化物洗口」より引用。
なお、225~250ppm未満という濃度は、日本国内における市販のフッ素洗口液の一般的な濃度です(日本国内でのフッ素洗口液の最大濃度は225ppm)。
このため、特に意識しなくても、日本国内で販売している市販のフッ素洗口液(225ppmが最大濃度)であれば、6歳未満の子どもに使用できます。
{6歳以上であれば、250ppm以上の濃度のフッ素洗口液を用いることが可能です}
6歳以上であれば、450~900ppmなど、250ppm以上の濃度のフッ素洗口液を用い、フッ素洗口を行えます(※4)。
(※4)毎日法(週5回法)や週1回法など、洗口方法により、
用いるフッ素洗口液の濃度を適切に選ぶことが大切です。
◎子どもの年齢に応じた、適切なフッ素洗口液の濃度、および、うがいの回数について
歯科医院・ご家庭のほか、自治体によっては、幼稚園・保育園・小中学校などでフッ素うがい(フッ化物洗口)を行っているところもあります。
「そう言えば、ウチの子の幼稚園・保育園(or小中学校)で、児童が集団でうがいをしていたような…」
など、自治体でのフッ素うがいのご経験があるお子様もいらっしゃるのではないでしょうか?
以下は、子どもの年齢に応じた、適切なフッ素洗口液の濃度、および、フッ素うがいの回数です。お子様がいらっしゃるの保護者の方は、ご参考になさってください。
≪フッ素洗口液の濃度、および、洗口(うがい)回数の目安≫
■フッ素うがいは子どもの時期だけじゃないの? 大人でも、フッ素うがいでむし歯予防の効果を高められる?
◎子どもだけではなく、大人の方もフッ素うがいでむし歯予防効果を高められます
フッ素うがいは、子どものためだけのものではありません。
子どもを含め、大人の方もフッ素うがいを行うことで、むし歯予防効果を高められます。
【日々の生活でフッ素を活用し、むし歯予防の効果を高めましょう】
歯を失う大きな原因の一つ、むし歯。
むし歯から歯を守るには、以下の2つのケアが重要になります。
[むし歯予防(および、歯周病を含む歯周組織の病気の予防)に重要な2つのケア]
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ご自身で行う、毎日の歯磨き+歯間清掃(セルフケア)
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歯科医院で受ける定期検診(プロケア)
大切な歯を守るために、まずは、上記の2つのケアをしっかり継続しましょう。
2つのケアを継続することを前提として、セルフケアを行う際は、
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フッ素洗口液によるフッ素うがい
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フッ素入り歯磨き粉による歯磨き
など、フッ素を活用することでむし歯予防の効果を高められます。
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今回は、「フッ素うがいとは」「フッ素うがいの適切なやり方」のお話をさせていただきました。
今月の後半のブログでは、「フッ素を用いて行うむし歯予防のメリット・デメリット」について、ご説明します。ひき続き、お手すきの際にブログをご参照いただければ幸いです。
