大人になっても乳歯が残ってしまう、大人乳歯。
5月のブログでは、大人乳歯の概容、大人乳歯があることで起こり得る悪影響について、お話をさせていただきました。
今回は、お悩みの方も多い「大人乳歯」の治療方法をご説明します。
目次
■大人乳歯の治療方法
◎抜歯を行い、インプラントなどの人工歯で歯を補う治療が基本になります
乳歯(=大人乳歯)は未成熟な歯であり、むし歯にかかりやすいなどの悪影響が起きる可能性が高いため、大人乳歯は抜歯で対処するケースが多いです。
抜歯を行い、インプラント、ブリッジ、入れ歯などの人工歯(義歯)で歯を補う治療が基本になります。
{抜歯以外の選択肢はないの?}
大人乳歯の治療方法は抜歯が基本、と聞き、「抜歯以外の選択肢はないの?歯を残したい」と感じる方もいらっしゃるかと思います。
歯を残したいお気持ちはわかるのですが、大人乳歯は乳歯=子どもの歯であり、未成熟なためむし歯にかかりやすいです。むし歯のかかりやすさに加え、大人乳歯が原因で歯並び・噛み合わせが乱れているケースも少なくありません。
上記の理由により、大人乳歯に対しては多くの場合、抜歯を行い、インプラントなどの補綴(ほてつ:人工物で歯を補うこと)が治療の基本になります。
■大人乳歯を抜いた後 インプラント、ブリッジ、入れ歯 どれを選べばイイ?
大人乳歯を抜いた後の補綴治療でお悩みの方は、以下をご参考に、ご自身に合った人工歯(義歯)を選ぶことをおすすめします。
1.インプラント
外科的な手術を行い、顎の骨に直接、人工歯根であるインプラント体を埋め入れる治療法です。
[インプラントのメリット]
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安定性が高い
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人工歯がずれたり外れる心配が少ない
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ほかの歯を傷つけない
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発音しやすい
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ブリッジや入れ歯と比べて、顎の骨の吸収が起きにくい
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自然な白さの歯に近づけやすい
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基本的なお手入れは歯磨き+歯間清掃でOK(※)
(※)インプラントとお口の健康を保つには、セルフケアに加えて
歯科医院での定期的なメンテナンスが重要になります。
[インプラントのデメリット]
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歯ぐきの切開など、外科的な手術が必要
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外科的な手術に伴い、創口からの細菌感染のリスクが存在する
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自費診療のため、保険のブリッジや入れ歯と比べて、費用が大きい(※)
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治療後のケアを怠ると、歯周病の一種「インプラント周囲炎」を発症する可能性がある
(※)先天性の無歯症など、国が指定する疾患に該当する場合は
保険でインプラント治療を受けられるケースがあります。
2.ブリッジ
失った歯の箇所に、橋のように(ブリッジ)、隣の歯と連結した被せ物を取り付ける治療法です。
[ブリッジのメリット]
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そこそこ、安定性が高い
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保険で、比較的安価に歯を補える
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取り外して清掃をする必要がない
[ブリッジのデメリット]
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隣の歯を削って被せ物を装着するため、残っている天然歯が傷ついてしまう
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人工歯根がなく、顎の骨の吸収が起きやすい
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被せ物と歯のあいだに歯垢・食べかすなどが溜まりやすく、ご自身では清掃しにくい
3.入れ歯(部分入れ歯)
隣の歯にクラスプという金具をかけ、金具で義歯を支える治療法です。
[部分入れ歯のメリット]
- 保険で、比較的安価に歯を補える
[部分入れ歯のデメリット]
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安定性が低く、入れ歯がずれたり外れることがある
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人工歯根がなく、顎の骨の吸収が起きやすい
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毎日、入れ歯を取り外して清掃する必要がある
【ご自身に合った補綴方法で歯を補うことをおすすめします】
患者様ご自身のご希望や口腔内の状態により、それぞれの方に適した補綴方法が異なります。
一概に「インプラントが良い、ブリッジや入れ歯はダメ」とは言いきることはできません。
一概には言えませんが、大人乳歯の抜歯後を含め、歯を失った(抜歯をした)ときは、ご自身に合った補綴方法で歯を補うことをおすすめします。
大人乳歯でお困りの方、失った歯の補綴方法でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。
診察では患者様の現在の口腔内の状態をチェックし、一人ひとりの方に適した治療・補綴方法をご提案させていただきます。