前回のブログでは、お子さまの歯科検診についてご説明をさせていただきました。
今回は、大人の方にオススメしたい、歯科医院での「定期検診」のお話です。
目次
■大人の方にこそ、歯科医院での定期検診が必要な理由
◎大人の方は歯科検診を受ける機会が減ります
幼稚園・保育園、小・中・高など、子どもは歯科検診を受ける機会が多いです。一方、会社・組織によっては歯科検診を行っているところもありますが、大人になると歯科検診を受ける機会が減ります。
子どものときは歯科検診を受けていたのに、大人になると歯科検診を受ける機会が減り、歯科医師・歯科医療との接点がなくなってしまうことも。
◎歯科検診の機会が減るとお口の健康に対する意識が低下しやすくなり、むし歯・歯周病が悪化する可能性があります
お子さまに多く見られる「歯医者さん嫌い」の傾向は、大人の方においても少なくありません。歯医者さん嫌いで、歯科医院に行きたがらない大人の方が歯科検診の機会が減ると、お口の健康に対する意識がさらに低下しやすくなります。
歯科検診の機会が減ることで歯科医師によるチェックを受けない状態が続くとお口の病気や異常を放置してしまい、むし歯・歯周病が悪化する可能性があります。
■お口の機能衰弱 「オーラルフレイル」の怖さ
◎お口の機能が衰弱すると、全身の健康が悪化しやすくなります
むし歯・歯周病・歯根破折などが原因で歯を失い、お口の機能が衰弱することを「オーラルフレイル」と呼びます。
お口の機能が衰弱しオーラルフレイルの状態になると、以下の理由により、全身の健康が悪化しやすくなります。
①むし歯・歯周病・歯根破折などが原因で歯を失う
②歯が少なくなるため、食べ物を噛みにくくなる・噛めなくなる
③弾力のある肉や繊維質の野菜・魚を噛みにくくなり、やわらかいご飯・麺類・パン、砂糖が含まれたジュースやゼリー・プリンなどの糖質を中心に栄養を補いがちになる
④糖質中心の食生活によって栄養バランスが偏り、肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病をひき起こしやすくなる
⑤生活習慣病のリスクの増大に加え、しっかり噛めないことが原因で胃腸をはじめとする消化器官にも負担がかかりやすくなる
⑥栄養バランスの偏りによってたんぱく質・カルシウムが不足し、筋肉量や骨量が減って身体機能や歩行に支障をきたしやすくなる
■お口の健康は全身の健康の「源(みなもと)」
◎お口の健康を保ち、食べ物をしっかり噛める機能を維持することが大切
オーラルフレイルを防ぎ、全身の健康を維持するためには、まずは、お口の健康を保つことが大切です。
お口の健康を保つには、まずは、毎日の歯みがき+歯間清掃によるセルフケアが基本です。ただし、セルフケアだけでは、歯についた歯垢や歯石は落とし切れません。磨き残した歯垢や歯石はむし歯・歯周病を悪化させる原因になります。
ご自身では落とし切れない歯垢や歯石を取る、また、お口の健康状態をチェックするためには、歯科医院で受ける定期検診が必須です。セルフケアに加え、歯科医院で定期的に検診を受けることで、むし歯・歯周病をはじめとするお口の病気や口腔内の異常の早期発見・早期治療につなげやすくなります。定期検診の際に行う歯のクリーニング・歯石取りにより、むし歯・歯周病の進行を抑えやすくなる効果も期待できます。
【セルフケア&プロケアでお口の健康を守りましょう】
大人の方は歯科検診の機会が減り、お口の健康が悪化しやすいため、注意が必要です。
口腔機能が低下し、オーラルフレイルの状態になると、特に中高年の方は全身の健康が悪化しやすくなります。
オーラルフレイルになって食べ物をしっかり噛めなくなることで全身の健康が悪化すると、外食やお出かけを心から楽しみにくくなるなど、人付き合いの場面で消極的になってしまうおそれも。
お口の機能低下によって全身の筋肉量・骨量が低下し、寝たきりにつながるケースも少なくありません。
かけがえのない歯・歯周組織を守るため、そして、全身の健康を維持するためには、まずは毎日の歯みがき+歯間清掃によるセルフケアをしっかり行うことが大切です。
毎日の歯みがき+歯間清掃に加え、歯科医院で定期的に検診(プロケア)を受け、セルフケア&プロケアでお口の健康を守りましょう。