
取り外し式の矯正装置(拡大床(緩徐拡大装置))を用い、
小さな子ども(3~8歳頃)の歯列を少しずつ広げる&顎の適切な成長をうながす「床矯正(しょうきょうせい)」。
先月のブログでは、床矯正の概容について、ご説明をさせていただきました。
今回は、「床矯正のメリット・デメリット」を詳しく、ご紹介します。
■床矯正のメリット
①拡大装置を取り外し、普段と変わらないお食事・歯磨きを行える
床矯正では、取り外し式の拡大装置(拡大床(緩徐拡大装置))を用います。
取り外し式のため、床矯正の矯正中は拡大装置を取り外し、普段と変わらないお食事・歯磨きを行うことが可能です。
②歯列を広げると共に顎の成長をうながすことで、まっすぐ永久歯が生えてくるための「歯の土台」作りにアプローチできる(歯の後戻りのリスクが少ない)
一般的に、矯正治療では、「顎の骨格が小さく、口腔内のスペースが不足している」と、スペース不足によって歯に押し戻す力がかかり、歯の後戻りが起きやすくなります。
床矯正は、拡大装置の装着によって少しずつ歯列を広げると共に、顎の成長をうながす矯正治療(咬合誘導)です。
床矯正では、歯列、および、顎の骨格(=歯の土台)を適切に広げることで口腔内のスペースの確保にアプローチ。口腔内のスペースの確保により、床矯正は、歯が元の位置に戻ってしまう「後戻り」のリスクを低減できます。
③顎の骨格の適切な拡大により、抜歯をせずに、通常の矯正治療(Ⅱ期治療、成人矯正)を進められる可能性がある
床矯正では、歯列・顎の骨格の適切な拡大にアプローチ。顎の骨格の適切な拡大により、口腔内にスペースを確保することで、
床矯正後に、通常の矯正治療(マウスピース矯正、ブラケット矯正)が必要になった場合、抜歯をせずに済む可能性を高められます。
④ブラケット矯正・急速拡大装置と比べて、矯正中の歯・顎の痛みを抑えやすい
取り外し式の拡大装置で少しずつ歯列を広げる&顎の適切な成長をうながすため、床矯正は矯正中の歯・顎の痛みを抑えやすいです。
一方、ブラケット矯正(ワイヤー矯正)・急速拡大装置は、矯正中に歯・顎に強い痛みを感じることも。特に、子どもは矯正中の痛みに対して我慢できないケースも多く、痛みが原因で矯正をあきらめてしまうケースが少なくありません。
⑤通常の矯正治療(マウスピース矯正、ブラケット矯正)と比べて、矯正費がリーズナブルに設定されている場合が多い
自費診療のため一概には言えないのですが、矯正治療の中では、床矯正は比較的、費用がリーズナブルな小児矯正になります。
マウスピース矯正、ブラケット矯正など、通常の矯正治療は数十万~100万円以上かかることも珍しくありません。
ご参考までに、当院の床矯正の費用は片顎につき70,000円(税込77,000円)です。
■床矯正のデメリット
①毎日、定められた時間、拡大装置の装着が必要
床矯正では、毎日、定められた時間、拡大装置の装着が必要になります。
床矯正における拡大装置の装着時間としては、一般的には、12~14時間以上に設定する場合が多いです(※)。
(※)1日につき8時間以上、16時間以上など、
お子様や症例により、拡大装置の装着時間が
異なる場合があります。
②発音しにくいことがある
床矯正では、拡大装置をつけ始めたばかりの頃は、発音しにくいことも。
発音については、床矯正の矯正期間が進むにつれて拡大装置の装着感に慣れていき、いつもとさほど変わらずに発音できるようになることが多いです。
③拡大装置を管理する必要がある
床矯正では、以下のように、拡大装置を管理する必要があります。
[床矯正で毎日行う必要がある、拡大装置の管理]
-
お食事の際は必ず、拡大装置を外して飲食する(水を除きます)
-
飲食後は歯を磨くと共に、やさしい力で拡大装置をブラッシングし、再装着する
-
装着しないときは、拡大装置を洗った上で、ケースの中に拡大装置を入れて保管する
-
破損・紛失を避けるために、慎重に拡大装置を取り扱う必要がある
…とは言うものの、小さな子どもは、自分自身で拡大装置の管理をすべて行うのは難しいことが多いです。
床矯正では、お子様に拡大装置の管理の仕方を覚えていただくと共に、保護者の方による毎日の拡大装置の管理(サポート)が重要になります。
【お子様の歯並びの乱れ・顎の形でお悩みの方はご相談ください】
床矯正では、取り外し式の拡大装置を用い、歯列・顎の骨格を適切に拡大。お子様の「将来の綺麗な歯並び」「バランスの整ったお顔立ち」にアプローチします。
-
子どもの歯並びが乱れている
-
子どもの顎が小さすぎる
など、お子様の歯並びの乱れ・顎の形でお悩みの方は当院までご相談ください。
なお、床矯正は3~8歳頃までの小さなお子様におすすめしている治療です。
カウンセリングでは、お子様の歯並び・顎の形を詳細に確認。必要に応じて精密検査を行い、一人ひとりのお子様に合った矯正方法をご提案させていただきます。
