大人になっても乳歯が抜けずに残っている「大人乳歯」 放っておいちゃダメ?|大阪京橋駅の歯医者|京橋オレンジ歯科クリニック

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大人になっても乳歯が抜けずに残っている「大人乳歯」 放っておいちゃダメ?


時期に多少の差はありますが、通常、6~12歳頃になると乳歯が抜けて永久歯が生えてきます。


通常は乳歯が抜けるのですが、何らかの原因により、生え変わりの時期を過ぎても乳歯が残ってしまうことも。

抜けずに残ってしまった乳歯を「大人乳歯」と呼びます。


今回は、「大人乳歯の特徴・原因」および「大人乳歯を放置するリスク」のお話です。


■大人乳歯の特徴 永久歯との見分け方


◎サイズ・色・形・歯の数など、乳歯と永久歯には様々な違いが

①歯のサイズ


永久歯と比べて、乳歯は小さいです。


②歯の色


乳歯は白っぽく、透明感があまりありません。


永久歯は黄色っぽく(アイボリーっぽい色)、乳歯と比べて透明感があります。


(※)乳歯・永久歯の色は個人差があります。


③歯の形


乳歯はつるんとしており、歯の表面の溝や噛み合わせ面の凸凹が浅めです。


永久歯は歯の表面に細かな溝があり、噛み合わせ面の凸凹が深めです。


④歯の数


乳歯は20本生えてきます。


永久歯は親知らずを含めると、32本生えてきます。


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以上のような要素が、乳歯と永久歯の違いです。上記に当てはまる乳歯(大人乳歯)は残っていませんでしょうか?


次の項では、大人になっても乳歯が残ってしまう主な原因について、ご説明します。


■大人乳歯の原因


1.乳歯の歯根が溶けず、歯の生え変わりの時期になっても乳歯が抜けない

通常、6~12歳頃の歯の生え変わりの時期になると、乳歯は歯根が溶けて吸収し、歯が抜けやすくなります。


通常は歯根が吸収して乳歯が抜けるのですが、何らかの原因により、乳歯の歯根が溶けず(吸収せず)、歯の生え変わりの時期になっても乳歯が抜けないことも。


乳歯の歯根が吸収しない原因は、はっきりとはわかっていません。


2.歯ぐきの中に乳歯が埋まっていき、乳歯が抜けない

何らかの原因により、歯ぐきの中(歯が植わっている歯槽骨の方向)に乳歯が埋まっていき、歯の生え変わりの時期になっても乳歯が抜けないことがあります。


歯ぐきの中に乳歯が埋まっていく原因は、はっきりとはわかっていません。


3.乳歯同士がくっついており、乳歯が抜けない(乳歯の癒合歯・癒着歯)

何らかの原因により、2本の乳歯がくっついてしまう場合があります(乳歯の癒合歯・癒着歯)。


癒合歯・癒着歯が起きても、2本共に乳歯の歯根が吸収すれば、生え変わりの時期に2本共乳歯が抜けることが多いです。しかし、何らかの原因により、癒合歯・癒着歯の乳歯の歯根が吸収せず、乳歯が残ってしまうことも。


癒合歯・癒着歯になる原因は、はっきりとはわかっていません。推論としては、現代人は顎が小さくなり、口腔内のスペース不足によって歯と歯がくっつきやすくなった、などが原因と考えられています。


4.永久歯の歯胚がない(永久歯の先天性欠如)

何らかの原因により、歯の芽である歯胚(しはい)が形成されないことがあります。


永久歯の歯胚が存在しない場合、生え変わりの時期になっても永久歯が生えず、乳歯が残ってしまう場合も。


妊娠中や乳幼児期の服薬の影響、栄養不足などが、歯胚が形成されない原因とされています。


■大人乳歯を放置するリスク むし歯が進みやすいの?


◎大人乳歯を放置すると、悪影響が生じやすくなります

大人乳歯は乳歯であり、永久歯と比べると未成熟で弱い歯です。


未成熟で弱い歯である乳歯=大人乳歯を放置すると、以下のような様々な悪影響が生じやすくなります。


1.むし歯にかかりやすくなる(+むし歯が進行しやすい)

乳歯は、歯の表面のエナメル質などの歯質が未成熟でやわらかく、永久歯と比べてむし歯にかかりやすいです。


乳歯のむし歯は進行スピードが速く、短期間でむし歯菌が歯の神経に到達してしまうケースも少なくありません。


2.しっかり噛みにくくなる(噛む力が不足しやすい)

永久歯と比べると、乳歯はサイズが小さいです。


大人乳歯があると周りの永久歯と歯の高さが合わず、しっかり噛みにくくなることも。


3.歯並び・噛み合わせが乱れやすくなる

大人乳歯があると周りの永久歯と歯の高さが合わず、歯並び・噛み合わせが乱れやすいです。


【大人乳歯は珍しい現象ではありません】


大人乳歯は、実は珍しい現象ではありません。


大人乳歯の原因の一つとされる永久歯の先天性欠如の割合は、日本人の子どもの約10%という調査結果があります(※)。


(※)日本小児歯科学会「日本人小児の永久歯先天性
欠如に関する疫学調査こちら
」(2010)より引用。


因子の一つである先天性欠如歯だけでも約10%のため、その他の原因を含む大人乳歯はさらに多い割合(10人に1人以上)で存在すると見られています。


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今回は、大人乳歯の特徴・原因、および、大人乳歯を放置するリスクについて、お話をさせていただきました。


次回のブログでは、大人乳歯の治療方法をご紹介します。


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