口の病気、と聞くと、一般的にはむし歯や歯周病をイメージする方が多いです。
むし歯や歯周病のほか、口の病気には、以下のような症状を伴う口内の粘膜の病気もあります。
[口内の粘膜の病気で見られることがある主な症状]
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口の中がピリピリして痛い
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口内の粘膜が白く・赤く変色している
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口内の粘膜にただれ・潰瘍ができている
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味がよくわからないときがある
今回は、上記のような症状が見られるときに考えられる「口内の粘膜の病気」について、原因・治療方法をご説明します。
■主な口内の粘膜の病気
1.アフタ性口内炎(一般的な口内炎)
頬の内側などに、丸い輪郭を持つ浅い潰瘍ができる一般的な口内炎です。口内炎、と言う場合、通常、アフタ性口内炎を指します。
≪症状≫
頬の内側などに丸い輪郭を持つ浅い潰瘍ができ、潰瘍の部分がヒリヒリ・ピリッと痛む
≪原因≫
はっきりとした原因はわかっていません。細菌・ウイルスの感染、粘膜への刺激、アレルギー、ホルモンの分泌異常などが原因と考えられています。
≪治療方法≫
アフタ性口内炎は1~2週間ほどで、自然に治ることが多いです。
自然治癒することが多いですが、市販の口内炎用の塗り薬、医療機関で処方される含嗽剤(がんそうざい:ぶくぶくうがい用の洗口液)やステロイド系の塗り薬を用いることで、治癒までの期間を短縮できる場合も。
2.口腔カンジダ症
頬の内側や舌に白い苔(こけ)状のものが付着する口内の感染症です。白い苔はガーゼなどでぬぐうことができ、苔がついている箇所から出血することも。
≪症状≫
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頬の内側や舌に白い苔状のもの(=カンジダ菌(カビ菌:真菌の一種))が付着する
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頬の内側や舌がピリピリと痛む
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口角(唇の両端)が切れて出血したり、口角が赤く腫れる
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味がよくわからなくなる
≪原因≫
カビ菌であるカンジダ菌は、元々、人の体内に常在しています。免疫力が正常なときは、カンジダ菌の症状は現れにくいのです。
風邪やストレス、疲労などで免疫力が低下すると、口腔カンジダ症などの口内の病気が現れることも。ステロイド薬や抗生剤(抗生物質)を長期間服用している場合も、常在菌のバランスの変化によって口腔カンジダ症が現れるケースがあります。
≪治療方法≫
口腔カンジダ症は自然治癒することもありますが、自然治癒の場合、1~2ヶ月はかかるケースが多いです。半年以上、治癒期間がかかることも。
現在、口腔カンジダ症への有効性が認められる市販薬(ドラッグストアや通販で買える薬)はありません。
原則として、口腔カンジダ症に対しては、歯科・口腔外科で処方する抗真菌薬系の飲み薬や軟膏による治療となります。抗真菌薬系の薬剤を用いた場合は、比較的早期(1~2週間程度)に治癒することが多いです(※)。
(※)治癒にかかるまでの期間は個人差があります。
3.扁平苔癬(へんぺいたいせん)
頬の内側や舌、唇などの粘膜に白い網状の発疹ができ、かゆみを伴う病気です。発疹がただれて、びらんになったり、潰瘍を生じることも。
≪症状≫
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頬の内側や舌、唇に白い網状の発疹ができ、かゆみを伴う
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発疹がただれて、びらんになったり、潰瘍を生じることがある
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食べ物や舌などがふれると、発疹部分が痛む
≪原因≫
はっきりとした原因はわかっていません。アレルギー、遺伝的な素因、銀歯などの歯科用金属、ストレス、代謝障害などが原因と考えられています。
≪治療方法≫
原因不明のため、治療法は確立されていません。対症療法としては、以下のような方法が挙げられます。
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ステロイドや抗生物質を含む軟膏の塗布
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ビタミンA製剤の服用
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消炎鎮痛薬の服用
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抗アレルギー薬の服用
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精神安定薬の服用
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歯科用素材をメタルフリー(セラミックなど)に変える
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できるだけストレスを溜めないようにする(自分なりのストレス発散方法を見つける)
扁平苔癬は自然治癒することもありますが、治るまでに1~2年、または、さらに長い期間がかかるケースも少なくありません。扁平苔癬に対しては、歯科・口腔外科での治療の有無に関わらず、焦らず、気長に病気とつきあっていく姿勢が大切です。
【口内の粘膜の痛み・違和感があるときは、お気軽にご相談ください】
京橋オレンジ歯科クリニックは総合歯科です。むし歯・歯周病やインプラント、歯科矯正、審美治療(セラミック治療など)のほか、口内の粘膜の病気の診療にも対応しています。
口内の粘膜の病気は自然治癒することもありますが、中には、口腔がんなどの重篤な病気がひそんでいるケースも。
「たかが口内炎だから」と、自己判断で口内の異常を放置するのはよくありません。
口内の粘膜の痛み・違和感などの症状が見られる方は、当院までお気軽にご相談ください。歯科医師が口内の状態を診査し、状態を改善するための治療方法をご提案させていただきます。