個人差はありますが、一般的に、40代以上の中高年になると、歯周病の進行、歯根破折などにより歯を失いやすい傾向が見られます。
歯を失ったまま治療を受けず放置している方は、要注意。
残っている歯が少なく、しっかり噛めない生活を続けていると、認知症になりやすいことが研究によって指摘されています。
目次
■残っている歯が少なく、しっかり噛めない方は認知症の発症リスクが約2倍に
◎残っている歯の数と認知症の発症リスクには深い関係が
健康な歯が20本以上残っている方と比べて、残っている歯が少なく、しっかり噛めない方は認知症の発症リスクが約2倍だったことが研究によって報告されています(※)。
(※)神奈川歯科大学大学院 山本龍生教授
「歯科から考える認知症予防への貢献」(2017年)
より引用。
■残っている歯が少なく、しっかり噛めない方はやわらかい物ばかり食べがち
◎あまり噛まずに済むやわらかい物が中心の食生活を送っていると、脳への血流が低下しやすくなります
歯周病の進行などにより歯がガタガタ・残っている歯が少なく、しっかり噛めない方は、以下のような糖質(炭水化物)中心のやわらかい物ばかりを食べがちです。
[歯がガタガタ・残っている歯が少なく、しっかり噛めない方に見られやすい糖質中心の食生活]
やわらかい麺類、シチュー・カレー、お菓子、プリン・ゼリー・ヨーグルト、ジュース、お酒などのあまり噛まずに済む糖質中心の飲食物
上記のような、あまり噛まずに済むやわらかい物が中心の食生活を送っていると、噛む刺激の不足が原因で脳への血流が低下しやすいです。
脳への血流の低下により、残っている歯が少ない方は認知症を発症しやすくなることが研究によって指摘されています(※)。
(※)神奈川歯科大学大学院 山本龍生教授
「歯科から考える認知症予防への貢献」(2017年)
より引用。
■歯を失った状態を放置することのデメリット
認知症の発症リスクの増加のほか、歯を失った状態を放置していると、以下のようなデメリットが発生しやすくなります。
①顎&全身の筋肉・骨格のバランスが乱れて転びやすくなる
残っている歯が少ない方は、食べ物を噛むときに歯が残っている側ばかりで食べがちです。アンバランスな噛み方による食生活を続けていると、偏った負荷が原因で顎の筋肉・顎の骨格のバランスが乱れやすくなります(=噛み合わせの乱れが起きやすくなる)。
顎の筋肉・顎の骨格は全身の筋肉・骨格と深く関係しています。顎の筋肉・顎の骨格のバランスが乱れると顎→首→背中→骨盤→足、というように全身の筋肉・全身の骨格バランスが乱れるケースも少なくありません。
上記の理由により、残っている歯が少ない方は顎&全身の筋肉・骨格のバランスが乱れ、転びやすくなる傾向が見られます。
高齢者の方の転倒は足の骨の骨折など、重大な怪我をひき起こしやすいため、要注意。高齢者の方が足を骨折したことが原因で寝たきり状態になるケースも多いです。
②老け顔になりやすい
残っている歯が少なく、食べ物をしっかり噛まない食生活を続けていると、噛む刺激の不足によって顎の筋肉・顎の骨がやせやすくなります。
顎の筋肉・顎の骨がやせるとお口まわりの皮膚が下がってしまい、老け顔になりやすいです。
③胃腸などの消化器系器官に負担がかかりやすくなる
残っている歯が少なく、食べ物をしっかり噛まない食生活を続けていると、咀嚼不足により、胃腸などの消化器系器官に負担がかかりやすくなります。
④健康な歯が20本以上残っている方と比べて、寿命が短くなりやすい
健康な歯が20本以上残っている方と比べて、残っている歯が少ない方は寿命が短くなりやすいことが研究によって報告されています(※)。
(※)口腔ケアと死亡リスクとの関連
大崎コホート研究(2013) より引用。
[残っている歯が少ない方の寿命が短くなりやすい理由]
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糖質中心の食生活による、肥満・糖尿病・高血圧などの基礎疾患の発症リスクの増加
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歯周病の進行による、心筋梗塞・脳梗塞のリスクの増加
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転倒リスクの増加に伴う、寝たきり状態に移行するリスクの増加
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転倒リスクの増加に伴う、死亡事故の発生リスクの増加
【いくつになっても「しっかり噛める食生活」を続けるために】
いくつになっても「しっかり噛める食生活」を続けるためには、まずは、ご自身の天然の歯を残すことが大切です。
天然の歯を残すために、毎日のセルフケア(歯磨き+歯間清掃)をしっかり行い、併せて、歯科医院で定期検診を受けましょう。
歯を失ってしまった場合は、インプラントを中心とする補綴治療を受けることで、噛む力の低減を抑えやすくなります。
歯を失った方、失った歯の治療方法でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。インプラントの相談費は無料です。