ズーンと重い歯の痛み… 放置したむし歯により、ひき起こされる可能性がある疾患について|大阪京橋駅の歯医者|京橋オレンジ歯科クリニック

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ズーンと重い歯の痛み… 放置したむし歯により、ひき起こされる可能性がある疾患について



「むし歯になった歯がズキッとしたり、ジンジン痛くて、夜も眠れない…」

「ズーンと重い歯の痛みがある…」


時に、強い歯の痛みをひき起こすことがある、むし歯。


むし歯を放置し、上記のようなご経験をされた方も多いのではないでしょうか?


むし歯になると、「ズキッ」「ジンジン」とした痛みを歯に感じる場合があります。


むし歯の歯の痛み方は、むし歯の進行状態によって異なります。中でも、特に注意が必要なのが「ズーンと重い歯の痛み」です。


ズーンと重い歯の痛みがある場合は、かなり重度、または、末期の状態にまでむし歯が進行しているおそれがあると共に、むし歯以外の疾患を発症している可能性があります。


■ズーンと重い歯の痛みがあるときに疑われる疾患


むし歯を放置し、重度、または、末期の状態になると、むし歯が原因で以下のような疾患を併発する場合があります。


以下の疾患はいずれも、「ズーン」とした重い、圧迫されるような痛み(圧痛:あっつう)が歯に起きやすい点が特徴です。


1.歯根嚢胞(しこんのうほう)

歯根嚢胞とは、歯の根っこである歯根の先に、細胞から浸みだした液が溜まって袋ができてしまう疾患です。


≪歯根嚢胞の痛み方≫


歯根嚢胞になると、食べ物を噛んだときや歯を噛み締めたときに、歯(歯の付け根あたり)や歯ぐきにズーンと重い、圧迫されるような痛みを感じることがあります。


<歯根嚢胞の主な発症原因>


むし歯を放置し、歯の根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」になり、根尖性歯周炎がさらに進行すると歯根嚢胞を発症することがあります。


むし歯に関連して、重度のむし歯治療で根管治療を行ったとき、治療の際の刺激(器具による根管内部への刺激、薬品の刺激)や根管内部の細菌の取り残しが原因となり、歯根嚢胞を発症する場合もあります。


むし歯のほか、歯の根っこが折れる歯根破折により、歯根嚢胞が生じるケースも。


2.顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)

顎骨骨髄炎とは、顎の骨の中の骨髄が細菌に感染してしまい、骨髄に炎症が起きる疾患です。


≪顎骨骨髄炎の痛み方≫


顎骨骨髄炎になると、歯にズーンとした重い圧痛を感じることがあります。ズーンとした圧痛のほか、歯を叩くと、ズキッと刺すような痛みを歯に感じるケースも。


歯の痛みに加え、歯ぐきが腫れてジンジンと痛んだり、顎の骨がしびれるように痛む場合もあります。


なお、顎骨骨髄炎は必ずしも上記のような症状が起きる訳ではありません。顎の骨の状態によっては、痛みなどの症状がなく、無症状のケースも見られます。


<顎骨骨髄炎の主な原因>


顎骨骨髄炎の発症原因の一つには、むし歯・歯周病の進行が挙げられます。むし歯・歯周病のほか、以下のような原因により、顎骨骨髄炎が起きる場合も。


・根管治療による刺激

・抜歯した穴への細菌感染

・顎の骨折部への細菌感染

・骨粗しょう症の薬剤(ビスホスホネート系薬剤)による、顎の骨髄への刺激

・糖尿病

・免疫力の低下


3.口腔底蜂窩織炎(こうくうていほうかしきえん)

口腔底蜂窩織炎とは、下顎の歯列の内側、舌と歯ぐきのあいだの窪みである口腔底部分の皮膚や皮下組織が細菌に感染してしまい、口腔底に炎症が起きる疾患です。


≪口腔底蜂窩織炎の痛み方≫


口腔底蜂窩織炎になると、下顎の口腔底にズーンとした重い圧痛を感じることがあります。ズーンとした圧痛のほか、口腔底や舌が腫れ、ジンジンと痛む場合も。


お口以外にも、口腔底蜂窩織炎では耳の後ろ、および、首のリンパが腫れ、ジンジンと痛むケースもあります。


<口腔底蜂窩織炎の主な発症原因>


口腔底蜂窩織炎の主な発症原因は、むし歯・歯周病の進行です。むし歯・歯周病の進行のほか、抜歯した穴に細菌が感染することで、口腔底蜂窩織炎を発症する場合もあります。


4.歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)(蓄膿症)

歯性上顎洞炎とは、むし歯・歯周病の進行、抜歯など、歯に関する要素が原因で上顎洞(上顎の奥歯の上にある空洞)が細菌に感染してしまい、上顎洞に炎症が起きる疾患です。


≪歯性上顎洞炎の痛み方≫


歯性上顎洞炎になると、食べ物を噛んだときや歯を噛み締めたときに、歯(歯の付け根あたり)や歯ぐきにズーンと重い、圧迫されるような痛みを感じることがあります。


歯や歯ぐきの圧痛のほか、目の下や、左右どちらか片方の頬に、ズーンとした重い圧痛を感じるケースも。両方ではなく、左右どちらか片方の頬に圧痛が起きるのは、歯性上顎洞炎特有の症状です。


歯性上顎洞炎により、ズキズキとした頭痛が起きるケースもあります。


<歯性上顎洞炎の主な発症原因>


歯性上顎洞炎の主な発症原因は、むし歯・歯周病の進行です。むし歯・歯周病の進行のほか、抜歯した穴に細菌が感染することで、歯性上顎洞炎を発症する場合もあります。


【むし歯は放置せず、できるだけ早めに歯科医院で受診を】


むし歯は放っておいても、自然に治ることは基本的にありません。治らないばかりか、むし歯の放置により、上記のような歯の根・顎の骨の疾患を併発してしまうケースも。


むし歯の放置が原因でズーンとした重い歯の痛みが起きている場合はほとんどのケースで歯の神経・根管に細菌が進行しており、根管治療が必要になる場合が多いです。


なお、今回お伝えしたような歯の根・顎の骨の疾患を併発している重度・末期のむし歯は、根管治療を行っても歯を残せないことがあります。


根管治療で歯を残せないときは、患者様のご同意を得た上で抜歯し、インプラントなど、失った歯を補う補綴治療を進めていきます。歯の治療に加え、歯の根・顎の骨の疾患が生じているケースでは、外科的な処置(手術)による、歯ぐきの切開や顎の骨の病巣の切除が必要になることも。


歯の痛みのほか、さまざまな疾患をひき起こす可能性がある、むし歯。


大切な歯を残し、歯の根・顎の骨の疾患をひき起こさないようにするには、むし歯の放置は厳禁です。むし歯を含め、歯に違和感や痛みがあるときは、できるだけ早めに歯科医院で診察を受けましょう。


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