
皆様は、「蓄膿症(ちくのうしょう)」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
蓄膿症とは一般的な名称(俗称)です。蓄膿症は、医学用語で「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」と呼ばれます。
今回は、インプラント治療で起きる可能性がある「副鼻腔炎」のお話です。
目次
■そもそも、副鼻腔炎(蓄膿症)ってどんな疾患?
◎鼻の周囲の空洞である「副鼻腔」の粘膜が炎症を起こした状態です
蓄膿症という言葉は聞いたことがあるものの、蓄膿症=副鼻腔炎がどのような疾患なのかはよくわからない…という方も多いかと思います。
副鼻腔炎(蓄膿症)とは、鼻の周囲の空洞である「副鼻腔」の粘膜が炎症を起こした状態です。
鼻の奥にある空洞を「鼻腔」、鼻の周囲に存在する空洞を「副鼻腔」と呼びます。
[副鼻腔の役割]
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粘液を分泌して(鼻腔と共に)鼻水を出し、鼻水といっしょに体外へ異物を排出する
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顔面の骨量を低減し、頭蓋骨にかかる荷重を減らす
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空洞を設けることで、顔に何かがぶつかったときに顔面にかかる衝撃を減らし、顔面の骨の形状と強度を保つ
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空洞によって声に響きを出す
■副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を発症する主な原因
一般的に、副鼻腔炎(蓄膿症)は以下のような原因で発症する傾向が見られます。
[副鼻腔炎の主な発症原因]
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風邪
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アレルギー性の鼻炎
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鼻のポリープ(鼻茸(はなたけ):粘膜が腫れ、キノコのように垂れ下がった状態)
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もともと持っていた副鼻腔炎の悪化
上記のような原因のほか、インプラント治療の際、「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」という種類の副鼻腔炎を発症するケースも。
◎顎の骨を増やすために行う「骨造成」で上顎洞の底部の粘膜が傷つき、細菌感染が起こると副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を発症する場合があります
インプラント治療で起こり得る副鼻腔炎、「歯性上顎洞炎」。
インプラント治療では、インプラント体を安定して顎の骨に結合させるために、骨造成(こつぞうせい)という補助手術を行うことがあります。
[骨造成の主な種類]
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GBR(前歯~奥歯の顎の骨を増やす骨造成)
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ソケットリフト(上の奥歯の顎の骨を増やす骨造成)
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サイナスリフト(上の奥歯の顎の骨を増やす骨造成)
上記の骨造成のうち、インプラント治療において歯性上顎洞炎をひき起こすことがあるのは、主に「ソケットリフト」「サイナスリフト」です。
「ソケットリフト」「サイナスリフト」では、上の奥歯の顎の骨を増やすために、上顎洞(頬の裏側=上顎の奥歯の上部にある副鼻腔)の底に骨補填材を入れます。
上顎洞底部の粘膜は非常に薄くデリケートなため、処置の際に傷がついたり、穴を開けてしまうと、上顎洞の内部に細菌が感染してしまうことがあります。上顎洞の内部の粘膜が炎症(副鼻腔炎)を起こし、「歯性上顎洞炎」を発症するケースも。
なお、以下のような歯に関係する原因によって歯性上顎洞炎が起きることもあります。
[歯性上顎洞炎の主な原因]
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インプラント治療における骨造成時の術者のミス(上顎洞底部に穴を開けてしまう)
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むし歯の進行による上顎洞内部への細菌感染
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歯周病の進行による上顎洞内部への細菌感染
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抜歯後、抜歯窩からの上顎洞内部への細菌感染
■インプラント治療の骨造成などが原因で副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)が起きた場合、どんな症状が見られるの?
◎鼻づまりなどの症状のほか、骨造成などが原因の歯性上顎洞炎では歯の痛みや口臭が現れることも
歯性上顎洞炎を含め、副鼻腔炎では、一般的に以下のような症状が見られます。
[副鼻腔炎で見られる主な症状]
鼻周りの症状
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鼻づまり
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口呼吸(鼻づまりにより、鼻で呼吸しづらくなる)
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鼻水が止まらない
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鼻の穴が臭い
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黄色・緑色の臭い鼻水(膿を含んでいる鼻水)が出る
頬・目・頭部の症状
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頬や目の奥が痛い
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頬や目の奥に圧迫感(ズーンと重いような圧迫感)を感じる
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頭が重い(頭重感)
その他の症状
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味覚障害(飲食物の匂い・味を感じにくい)
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咳(急性の副鼻腔炎で見られる症状)
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発熱(急性の副鼻腔炎で見られる症状)
上記に加え、インプラント治療の骨造成などが原因の歯性上顎洞炎では、以下のような症状が見られるケースも。
[歯性上顎洞炎で見られることがある症状]
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歯が痛い
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口臭
【来月のブログでは、歯性上顎洞炎の治療・予防の仕方をご説明します】
今回は、インプラント治療における骨造成など、歯科治療・歯に関係する因子が原因で起きることがある副鼻腔炎「歯性上顎洞炎」について、お話をさせていただきました。
来月のブログでは、歯性上顎洞炎の治療・予防の仕方をご説明します。


