インビザライン矯正では、厚さ0.5㎜ほどの透明なマウスピース(アライナー)を歯に装着し、歯並びを整えていきます。
極薄で透明なため、インビザラインは矯正中でもマウスピースが目立ちにくい点が特長です。
薄く、目立ちにくい反面、インビザライン矯正中に力がかかったときは、マウスピースが割れたり(裂ける)、壊れることも。
今回は、「インビザラインのマウスピースが変形・破損する主な原因&対処方法」をご説明します。
目次
■インビザラインのマウスピースが変形・破損する主な原因&対処方法
◎さまざまな原因により、インビザライン矯正中にマウスピースが変形・破損する場合があります
インビザラインでは、矯正中、20時間以上、マウスピースを装着していただきます。お食事と歯磨き以外は、ほぼ1日中、マウスピースを装着する形です。
1日中、マウスピースを装着するため、以下のような原因により、マウスピースが変形・破損するトラブルが起きる場合があります。
①マウスピースの着脱方法が不適切
マウスピースの着脱方法が適切ではない場合、マウスピースが変形・破損することがあります。
<対処方法>
マウスピースを装着する・取り外すときは、以下の手順にしたがい、適切に着脱しましょう。
マウスピースを装着するとき
マウスピースを歯にかぶせ、前歯から奥歯に向かって、パチッとぴったりはまるまで、指の腹でマウスピースを押してください。
マウスピースを取り外すとき
奥歯の内側に指をかけ、マウスピースを歯のあいだにすき間を作ります。すき間ができたら、奥歯から前歯に向かってマウスピースを外してください。
②爪が伸びている、突起物のネイルアートをしている
伸びた爪や突起物のネイルアートがひっかかり、マウスピースが変形・破損することがあります。
<対処方法>
インビザライン矯正中は、こまめに爪を切りましょう。
インビザライン矯正中は、突起物のネイルアートは控えてください。
③ケースに入れずに持ち運んでいる
専用ケースに入れずに持ち運んでいると、荷物の中でこすれ合ったり、地面に落とすなどのトラブルが起こりやすいです。こすれ合う・地面に落ちることで、マウスピースが変形・破損することがあります。
<対処方法>
マウスピースを持ち運ぶときは、専用ケースに入れ、フタをした状態で持ち運びましょう。
④40℃を超える熱いお湯でマウスピースを洗う
40℃を超える熱いお湯でマウスピースを洗ってしまうと、熱によってマウスピースが変形・破損することがあります。
<対処方法>
40℃以下のぬるま湯、または、水でマウスピースを洗ってください。
⑤研磨剤・アルコール・漂白剤でマウスピースを洗う
研磨剤・アルコール・漂白剤、および、左記が含まれる洗剤などでマウスピースを洗ってしまうと、成分によってマウスピースが変形・破損することがあります。
<対処方法>
水だけでは汚れが落ちにくいときは、市販のマウスピース洗浄剤を使いましょう。または、研磨剤・アルコール・漂白成分を含まない食器用洗剤でマウスピースを洗うこともできます。
⑥歯ぎしり・食いしばりの癖
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、歯・歯周組織に過剰な負荷がかかりやすいです。マウスピースにも過剰な負荷がかかってしまい、マウスピースが変形・破損することがあります。
<対処方法>
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方に対しては、インビザライン矯正を始める前に癖の有無を歯科医師が把握しておくことが大切です。
歯ぎしり・食いしばりの癖が強い場合は、そのままでは、インビザライン矯正を正常に続けられない可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりの癖があり、下記のように歯科医師が判断した場合は、矯正をいったん中止することがあります。
・癖の改善が難しい
・癖による歯・歯周組織への影響が大きく、そのままではインビザライン矯正を正常に続けられない
歯ぎしり・食いしばりの癖は口腔筋機能療法(MFT)や心理療法などで、癖の改善にアプローチすることが可能です。ただし、歯ぎしり・食いしばりの癖はなかなか直しにくく、改善が難しいケースも少なくありません。
治療により、歯ぎしり・食いしばりの癖の改善が認められたときは、再度、インビザライン矯正を行える場合もあります。
■マウスピースが変形・破損したときにすること・しないこと
インビザライン矯正中、マウスピースが変形・破損したときは、以下に紹介する方法で対処しましょう。
〇すること
1.できるだけ早めに歯科医院に連絡し、受診する
(ご連絡は定期通院日以外でもかまいません)
2.受診するまでのあいだは、1つ先のマウスピースを装着する
マウスピースが変形・破損したときは、できるだけ早めに、インビザライン矯正を受けている歯科医院に連絡し、受診してください。受診の際、新しいマウスピースに交換してもらえます(※)。
(※)新しいマウスピースへの交換の際は、費用が発生する場合があります。
受診するまでのあいだは、1つ先のマウスピースを装着し、歯並びが元の位置に戻らないようにましょう。
✕しないこと
1.変形・破損したマウスピースを装着し続ける
2.マウスピースが変形・破損したことを歯科医院に連絡しない
マウスピースが変形・破損したときは、変形・破損したマウスピースは装着するのを控えましょう。変形・破損したマウスピースを装着し続けていると、矯正の効果が薄れたり、治療計画どおりに矯正が進まなくなるおそれがあります。ご自身でマウスピースを修理するのも控えましょう。
マウスピースが変形・破損したときは、必ず、インビザライン矯正を受けている歯科医院に連絡しましょう。変形・破損の事実を隠していると適切な対処ができず、矯正の効果が薄れたり、治療計画どおりに矯正が進まなくなるおそれがあります。
【ルールを守って、適切にマウスピースを装着・管理し、理想の歯並びを目指しましょう】
インビザライン矯正中は1日につき、20時間以上のマウスピースの装着が必要です。マウスピースの装着に加え、着脱や洗浄の際にも注意が必要になります。さまざまなルールがあるため、患者さんによっては「めんどくさい」「もうやだ」とうんざりしてしまうかもしれません。
うんざりしてしまう場面もあるかと思いますが、インビザライン矯正中にお守りいただくルールは、すべてが、「理想の歯並び」を手に入れるために欠かせないものです。
理想の歯並びを得るために、インビザライン矯正中はルールを守って、適切にマウスピースを装着・管理しましょう。