透明なマウスピースで目立ちにくく、従来のワイヤー矯正と比べて矯正中の痛みが少ないインビザライン。インビザラインはたくさんのメリットがある矯正方法です。
メリットが多いインビザラインですが、インビザラインにはマウスピース矯正ならではのデメリットも存在します。
良い点ばかりに着目し、デメリットを知らないままインビザライン矯正を受けた場合、「こんなはずじゃなかった」「思っていたのと違った」とがっかりしてしまう可能性も。
今回は、歯科矯正でがっかりしないために知っておきたい「インビザラインのデメリット」についてご説明します。
目次
■インビザラインのメリット
デメリットをご説明する前に、まずは、インビザラインの7つのメリットをご紹介します。
1.透明なマウスピースで目立ちにくい
2.ワイヤー矯正と比べて、矯正中の痛みが少ない(※1)
3.マウスピースを取り外し、矯正中、いつも通りの食事を楽しめる
4.マウスピースを取り外し、矯正中、しっかり歯を磨ける
5.装置が口の中を傷つけにくい
6.2ヶ月に1回程度の通院のため、忙しい方でも最後まで矯正を続けやすい
7.金属アレルギーを起こす心配がない(※2)
(※1)患者さんや歯並びの症状によって
矯正中の痛みの感じ方が異なります。
(※2)IPRやアンカースクリューなど、補助
処置の際に金属を用いることがあります。
■インビザラインのデメリット
メリットが多いインビザラインですが、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット①ワイヤー矯正と比べて、効率的に歯を動かせない場合がある
インビザラインをはじめとするマウスピース矯正では、マウスピースを装着して歯に力をかけ、歯を動かして歯並びを整えていきます。
マウスピースを用いるため、マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも歯を動かす力(矯正力)がマイルドです。
原則として、矯正力がマイルドなマウスピース矯正では歯を傾けて歯を動かす「傾斜移動」を中心に歯並びを整えます。マウスピース矯正はワイヤー矯正のように歯根ごと歯を大きく平行移動させること(=歯体移動:したいいどう)はできません(※)。
(※)アタッチメントを用いることで、インビザラインは歯体
移動を行えます(インビザラインで動かせる歯体移動
の距離はワイヤー矯正よりも短くなります)。
傾斜移動に加え、マウスピース矯正は装置の特性上、左右または片方の歯を1本ずつ動かして歯並びを整えます。マウスピース矯正はワイヤー矯正のように複数の歯をまとめて動かすのは苦手です(※)。
(※)アタッチメントを用いることで、インビ
ザラインは複数の歯をまとめて動かせます。
上記の理由から、患者さんや歯並びの症状によっては、マウスピース矯正では効率的に歯を動かせない場合があります。
≪対処方法≫
抜歯をして歯を大きく動かす必要があるケースなど、効率的に歯を動かしたいときはワイヤー矯正で治療することでスムーズに歯を動かしやすくなります。
ワイヤー矯正への治療方法の変更のほか、ワイヤー矯正で歯を大きく動かした後、仕上げの微調整をインビザラインで行うなど、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用するやり方もあります。
デメリット②マウスピースの装着時間を守らなかった場合、矯正の効果が薄れる可能性がある
インビザラインをはじめとするマウスピース矯正では、1日18~20時間以上のマウスピースの装着を定めています(インビザラインは20時間以上)。
定められたマウスピースの装着時間を守らなかった場合、治療計画通りに歯が動かず、矯正の効果が薄れる可能性があります。
≪対処方法≫
治療計画通りに歯を動かし、理想の歯並びを得るためには、定められた装着時間を守り、しっかりとマウスピースを装着することが大切です。
デメリット③治療計画の修正・変更により、マウスピースの作り直しが必要になることがある
マウスピース矯正、ワイヤー矯正などの矯正方法を問わず、歯科矯正では矯正中に治療計画の修正・変更が必要になるケースが珍しくありません。
インビザラインでも治療計画の修正(リファインメント)を行うことがあります。
インビザラインは口腔内スキャナーによる歯型取りから治療計画の立案、マウスピースの作製、治療計画の修正・変更まで、すべての治療工程をアプリや機械が行います(※)。
(※)治療計画の立案・修正・変更には歯科医師が関与します。
治療工程のフルデジタル化により、歯科医師や歯科技工士など、人の手が介する工程をできる限り取り除くのがインビザラインならではの特徴です。人の手が介する工程を極力、取り除くことでヒューマンエラーを低減でき、矯正治療の精度を高められます。
フルデジタル式で矯正治療の精度を高めているインビザライン。インビザラインは精度を高めている反面、アプリが主となり治療計画を立案するため、患者さんや治療の進み方によっては多少の誤差が生じ、治療計画の修正・変更が必要になることも。治療計画の修正・変更が必要な場合は最初に作製したマウスピースに代わり、新しくマウスピースを作り直さなければならなくなるケースもあります。
≪対処方法≫
矯正方法を問わず、歯科矯正では治療計画の修正・変更が必要になるケースが少なくありません。
矯正を行う際は患者さんによって異なる歯並びや顎の骨の状態を見極め、入念に治療計画を立てることが重要です。ただし、細心の注意を払って入念に治療計画を立てても、治療計画の修正・変更を100%防ぐのは不可能です。
矯正では、治療計画の修正・変更をせずに済むことばかり考えるのはあまり現実的・効率的ではありません。本当に大切なのは、治療計画の修正・変更が必要になったときに、どれだけその状況に合わせて適切に修正・変更を行えるかです。
適切に治療計画の修正・変更を行うことで、患者さんが望む理想の歯並びに向かってスムーズに矯正を進めやすくなります。
デメリット④奥歯の沈み込み(圧下)が起きることがある
マウスピースを歯にかぶせる、という矯正方法の特性上、マウスピース矯正ではマウスピースの厚みによって奥歯の沈み込み(圧下:あっか)が起きることがあります。
≪対処方法≫
奥歯の沈み込みが起きることが予測される、または、奥歯の沈み込みが起きた場合は、マウスピースの奥歯の箇所を切り取って沈み込みを防ぎます。
マウスピース矯正で深く奥歯が沈み込んでしまったケースでは、舌側に歯をひっぱり出す挺出(ていしゅつ)が必要になることがあります。インビザライン矯正では、奥歯の沈み込みを改善するためにアタッチメントを用いて歯の挺出を行うことが多いです。
デメリット⑤飲食の度にマウスピースを外す必要がある
インビザラインをはじめとするマウスピース矯正では、水を除き、飲食の度にマウスピースを外さなければなりません。
飲食時にマウスピースを外したときは、マウスピースを洗い、歯を磨いてからマウスピースを再装着します。
食事はもちろん、ジュースなどの糖分が含まれた飲料、無糖であってもお茶などの着色性物質が含まれた飲料、また、ガムや飴などのちょっとした食べ物でもマウスピースを外す必要があります。患者さんによっては飲食の度のマウスピースの脱着・洗浄、装着前の歯みがきを「めんどくさい」と感じてしまうかもしれません。
≪対処方法≫
マウスピース矯正では水を除き、飲食時のマウスピースの脱着・洗浄、装着前の歯みがきが必須です。
理想の歯並びを得るため、1日20時間以上マウスピースを装着すると共に、飲食時のマウスピースの脱着・洗浄・歯みがきのルールを守りましょう。
【メリット・デメリットを理解し、患者さんご自身がご納得した上でインビザライン矯正を受けることが大切です】
インビザラインを含め、歯科矯正においてはメリットだけではなくデメリットも理解した上で治療を受けることが大切です。
メリット・デメリットを理解し、患者さんご自身がご納得してインビザライン矯正を受けることで、矯正中や矯正後にがっかりする可能性を減らせます。
「自分の歯並びがインビザラインで治せるか知りたい」
「受け口を治すにはどの矯正方法が良いの?」
など、インビザラインや矯正に関するご質問・ご不安がある方は大阪府八尾市の谷口歯科クリニック・京橋の京橋オレンジ歯科クリニックまでお気軽にご相談ください。相談費は無料です。
ご相談の際は患者さんの現在のお悩みやご希望をじっくりとお伺いし、それぞれの方に適した治療方法をご提案させていただきます。カウンセリングはWEB、または、お電話にてご予約可能です。